今回は「借地権」と「底地権」の違いとどちらが強力な権利か見ていきます。
借地権とは、「建物の所有を目的とする地上権または土地賃借権」のことを言います。この借地権という言葉は法律上の用語で、借地借家法という法律で明文化されています。
”借地借家法2条1号:「この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 借地権 建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権をいう。…」”
一方の底地権という言葉に関しては、実は条文上は存在しない言葉になります。通常、完全な所有権を有している場合、その物に関して「使用・収益・処分」することは自由にできます。
例えば、とある土地を所有している場合、土地を利用することや、駐車場などで土地を利用して収益を上げる、また、第三者に売却する(処分する)ことは所有者の自由です。
しかし、土地を有している地主が土地を建物所有目的で借地権者に貸してしまうと、所有権の権利の一つである「使用」する権利が地主から借地権者に移り無くなってしまいます。
※土地は借地権者が使用しており、地主はその土地を使用することができません。
すなわち、底地権という概念は、
「完全な所有権 -(マイナス) 借地権」
ということができます。
また、「底地権者」、「借地権者」どちらが貸主で借主なのか分かりにくいケースもあることでしょう。
ここではその用語について解説していきます。
土地を貸す側は次のように呼ばれるケースが多いです。①地主、②底地権者、③底地人、④借地権設定者
②③の底地権者や底地人は底地に対する権利を有する人という意味で使われます。
また④の借地権設定者に関しては、借地権を設定した人=地主(土地を貸す人)ということになります。
特に、借地権設定者と借地人が貸主・借主どちらがどちらだろう…と分かりにくくなるケースがあるようです。
土地を借りる側としては、①借主、②借地権者、③借地人と呼ばれることが多いです。
「借地」の「権」利を有する「者」、と分解するとわかりやすいかもしれません。なお、正式(条文上)な用語としては「借地権者」になります。
それでは借地権と底地権はどちらの権利の方が強いのでしょうか。
土地の所有者は地主(底地権者)で、土地を貸している立場なのだから、底地権の方が強い!と思う方もいるかもしれませんが実はそうではありません。
理由として、大きくは2つあります。
底地権も借地権も単独で売却することができるのですが、底地権よりも借地権の方が売却価格は高くなります。特に都市部だとこの差は顕著に出てきます。
建物所有目的で土地を貸してしまうと、長期間にわたってその土地は返ってきません。
※原則として最低でも「30年」貸さなければなりません。その30年が経過しても、地主側に正当事由がないと貸した土地を返してもらうことはできません。
このような理由から、底地権よりも借地権の方が強力な権利と言われることが多いです。一つの土地で複数人の権利が絡み合うということは、それだけトラブルの火種も多く抱えてしまうことになります。更新や地代、さらには立ち退きに関することなどはよくあるトラブルです。
問題が起きないように事前にリスクヘッジをする、また、問題が起きたとしても大きくなる前に解決することが重要なポイントにはなりますが、底地権や借地権は権利関係が複雑に絡み合い、素人だけでの解決は非常に危険とも言えます。そんな際は、借地・底地の専門家に相談してみてはいかがでしょうか。数多くの解決実績のある会社がおすすめです。